コラム
企業が同業他社との差別化を図り、ユーザーに広く認知・利用されるためには、適切なブランド戦略を行うことが必須です。ここでは、ブランド戦略を行うことでどのようなメリットが生まれるのか、実例を元に考えてみましょう。
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目次
「ブランド」というと、高価格帯のアパレル商品などを想像する人もいるかもしれません。しかし、経営上の「ブランド戦略」や「ブランド」は、すべての商品、企業、サービスについて言えるものです。
企業には、それぞれにロゴマークがあり、独自の経営方針が定められています。そして、ユーザーはこれらの要素や店舗・事務所の内装、サービスから受ける雰囲気、キャッチコピー、CMなどから、それぞれのブランドに対する共通イメージを抱きます。このイメージが「ブランド」です。
また、企業がブランドイメージを確立し、ユーザーに訴えていくことを「ブランディング」と呼びます。ブランディングには、企業や商品のファンを増やし、購買意欲を高め、リピートにつなげる効果があります。
企業が自社の強みを明確化できていない場合や、強みをユーザーに訴求できていない場合に有効なのが「ブランド戦略」です。ブランド戦略とは、自社のブランドイメージを定め、ユーザーに対してアピールし、意図した通りの共通イメージを抱かせる「ブランディング」を行うための戦略を意味します。
ここでは、実際にブランド戦略を行い、成功した例として2社をご紹介します。
2001年にオープンしたUSJは、当初ハリウッド映画をコンセプトにしたテーマパークとして運営されていました。用意されていたアトラクションもハリウッド映画をテーマにしたものばかりで、映画ファンにとっては非常に魅力的なものだったと言えます。しかし、映画に興味がなかったり、コアファンではなかったりするユーザーにとっては、あまり興味のわかないものが多いという課題もありました。
そこで行われたのが、より広いターゲット層に訴求できるエンターテインメント性の高いアミューズメントパークへの転換です。
従来の「映画に特化することでほかのテーマパークとの差別化を図る」という方針から、「家族で楽しめるエンターテインメントを提供する場を作る」という方針へと転換を行い、これを広くユーザーに知らせるための広告戦略を行ったことで、USJの業績は大幅にアップしました。
清涼飲料水「レッドブル」のパッケージには、一般的なエナジードリンクや栄養ドリンクに見られるように、「○○成分がどれだけ入っているか」ということや、「疲労回復」「滋養強壮」といった表記はありません。ごくシンプルな見た目に「エナジードリンク」と書かれているだけです。同じようにレッドブルのCMでも、このような成分に関する内容はほとんど触れられることがありません。
その代わりに、「Red Bull Gives You Wings(翼をさずける)」というメッセージや、レッドブルを愛飲するアスリート達のコメントなどがアピールされています。このようなやり方は、若年層に対して強い訴求力を発揮し、高い支持を得る結果につながりました。
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ここまで、ブランド戦略の概要と、それを実践している企業の実例をご紹介してきました。以下では、ブランド戦略がどのようなステップを経て行われているか説明します。
まず、自社のターゲット層を決めます。USJやレッドブルの例からもわかるように、ターゲットを適切に定めることは、ブランディングを成功させるためにとても重要です。
「甘いものだから若い女性」「健康ドリンクだから中年男性」などと決めつけるようではいけません。しかし、単純にスキマを狙えばいいというものでもないのが、ブランド戦略の難しさです。自社の目指す方向性を実現するために、適切なターゲットを慎重に見極めましょう。
自社の強みを分析するためには、ソーシャルメディア分析、SWOT分析、3C分析、パーセプション・マップなどを活用することが効果的です。
SWOT分析とは自社の内部環境(強みと弱み)、外部環境(機会と脅威)について分析すること、3C分析は、ユーザー、競合他社、自社の3つについてそれぞれ分析をすること、パーセプション・マップは、価格とパフォーマンスなどを縦軸と横軸に取り、自社と他社のポジションを視覚的に比較することを指します。
また、SNSの活用も効果を期待できます。ターゲット層のニーズを知るとともに、自社に対するユーザーの声を収集することができるでしょう。このようなさまざまな分析によって自社の業界内での立ち位置や強みを客観的に「見える化」していきます。
1と2を元に、自社が業界内においてどのようなポジションを目指すのかを決定し、それを実現するためのブランディングについて具体的な計画を練ります。
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適切なブランド戦略を立てるためには、顧客のニーズを知り、それとブランドイメージを結び付ける必要があります。短期的な利益追求ではなく、長期的なブランドイメージの確立と企業成長を目指すためには、ブランディングやブランド戦略に対する専門知識が必須と言えるでしょう。
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