コラム
ここ数年、転職や派遣などの人材紹介サービス同様に「顧問紹介サービス」が増えています。「顧問紹介」「顧問派遣」「顧問マッチング」といったキーワードで検索をかけると、多くのサービスページや比較情報などを目にすることができます。
ではなぜ、企業の顧問活用ニーズが高まっているのでしょうか。「企業が顧問を使う理由」から、時代に沿った顧問の役割を掘り下げてみましょう。
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目次
顧問を求めている理由は企業によってさまざまですが、すべてのケースに共通して言えるのは「企業の内部だけでは限界がある」という点です。つまり、経営課題に対する客観的なアプローチをどの企業も求めていると言えるでしょう。
例えば、「長年経営陣が変わっていない」「人の入れ替わりがほとんどない」といった企業の場合、新しいアイデアや技術が取り入れられず、サービスの魅力に関しても競合に後れを取るリスクが大きくなるでしょう。「新規事業のスタートアップで失敗を繰り返している」という企業はコストばかりが増え、業績が先細りになったり優秀なスタッフが去ったりする事態が避けられなくなります。
経営課題を解決したくても、社内のスタッフだけでは「やり遂げられないこと」「原因が解明できていないこと」がたくさんあるのです。
そもそも顧問とは、企業や団体などから依頼を受けて契約を結び、専門的な知識や経験、ノウハウを活かしながら経営課題の解決やスタッフの指導・補佐などを行う役割のことです。「アドバイザー」といった肩書きを持つこともあります。
顧問には、大きく分けて「内部顧問」と「外部顧問」の2種類あります。「内部顧問」は取締役や監査役などを退任して顧問になった人、もしくは顧問を兼任する役員クラスの人を指します。「外部顧問」は、課題解決に欠かせない専門知識やノウハウを活かすために外部から顧問として迎えられた人材です。弁護士や税理士、コンサルタントなどの多くは後者に該当します。
顧問や相談役といったポジションは日本の古い企業体質による独自の役割でしたが、少しずつ存在感が薄まり、いつしか採用しなくなる企業も多くなりました。
平成の時代には過労死やパワハラなどが社会問題となり、「個人の人権」や「働き方」に対する価値観に意識の変化がありました。それにより、“偉い人たち”よりも“労働者”の人権に重きを置く価値観に変わりつつあります。
それが、企業のコスト感覚にも影響を与えたと言えるでしょう。
加えて、大企業の不正会計問題などでは経営陣だけでなく顧問や相談役といったポストへの批判が噴出しました。その後、実態の不明瞭な顧問や相談役を廃止する企業が増加傾向にあります。
従来的な「顧問」は企業の社長や会長を退いた後に就くポストという意味合いが強く、閉鎖的であると批判の対象になりました。しかし、近年ではこれまでの顧問のあり方が変化し、意義や価値のある仕事として見直されています。
内部顧問は企業の体質や人間関係に左右されることも多くありますが、外部顧問ならその心配がありません。
内部にいない「結果を出せる人材」を育てるのは時間もコストもかかりますが、外部から迎え入れればすぐに結果を出しやすくなります。いま求められているのは、即戦力として活躍できる、経験・知見・人脈の豊富な外部顧問なのです。
顧問は、企業の経営・ビジネスにおける目的を達成するために力を貸してくれる存在です。企業が顧問の存在を求める時は、目的がはっきりしています。
「新規事業立ち上げのため、事業戦略のアドバイザリーをお願いしたい」
「商品開発の優秀なアライアンス先を紹介してほしい」
「人事制度における社内規定のマニュアル化を助けてほしい」
「特定の企業の重役クラスとのビジネス関係構築に寄与してほしい」
このように、企業が具体的な目的を持ち、「成功のために顧問の力を借りたい」「企業の成長のために顧問の人脈や経験に学びたい」という時に、顧問の必要性を考えるのです。
顧問は昔のように役割が不明瞭な存在ではなくなりました。また、「大企業だけのもの」でもなくなりました。顧問は企業や経営者の上に立つのではなく、「いちビジネスパートナー」として、ともに目的を達成するための存在なのです。
さまざまな企業で顧問紹介サービスの活用が増えているもうひとつの理由は、顧問料金の変化です。昔は顧問と言うと年間数千万円規模の高額な顧問料、また専用車や秘書、執務室まで用意する――といったケースも珍しくなく、とにかく顧問を雇うのには莫大なお金がかかりました。
事業者により多少の違いはありますが、現在の顧問紹介サービスの利用料金体系は基本的に「月額利用料+コンサルティング料金+顧問料」の形になっています。
契約形態は、契約企業・仲介会社・顧問で契約を結ぶ「3者間契約」と、契約企業と仲介会社、契約企業と顧問でそれぞれに契約を結ぶ「2者間契約」のいずれかが一般的です。
3者間契約をするサービスでは、利益の乗せ方によっては「見合った報酬を受け取っていない」として顧問とトラブルになる可能性も。
一方、2者間契約ではコンサルティング料金(中間マージン)が発生せず、顧問報酬の満額支払いが可能なため金銭的なトラブルが発生しにくいことから、企業にとっては「費用対効果が高い契約」と言われています。
現在はなんでも「コスパ」の時代です。当然、費用対効果の高いサービスに人が集まります。顧問紹介サービスも同様に、コスパが良いところに企業が集まるのは当然と言えるでしょう。ニーズに合わせて新しいサービスがどんどん登場しているので、これからさらなるコスパの高まりも期待されます。
顧問紹介サービスに顧問登録をしている人材は、シニア層に限りません。専門分野によっては、30代くらいからの若い世代の方も多数います。
こうした方たちは主にダブルワーク、フリーランス、経営者など、さまざまな立場や肩書きで、これまで培ってきた経験、スキル、人脈を顧問業に活かしています。
顧問は顧問として求められる「人材力」を持ち合わせているものの、あくまで一般的なビジネスパーソンです。
そのため企業と顧問の間に上下関係はありません。同じ目的を目指すビジネスパートナーとして関係性を築いていくという意識こそが、「新しい顧問のカタチ」として最も重要なポイントかもしれません。
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今日において顧問に何が求められ、どのように利用されているのかお分かりいただけたでしょうか? 時代が平成から令和に移り変わったいま、顧問活用のハードルは一気に下がり、誰でも気軽に顧問を採用できる時代になりました。
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