『アジアで事業拡大を!』中小企業のための海外展開戦略
顧問
顧問との
少子高齢化により
かつては「世界の工場」として先進国の産業を支えてきたアジアの国々ですが、近年では目覚ましい経済発展とそれに伴う所得の上昇によって中間層・富裕層が拡大し、「消費市場」としての魅力が高まりました。特に、中国やインドは今後10年で世界最大級の中間層市場になると見られ、多くの企業が販路拡大を進めています。
いくらアジアに商機があるとはいえ、事業を成功させるには法律や慣習、言葉の違いなど様々な壁を乗り越えなければなりません。そこで今回は多くの企業の海外進出をサポートしてきた米山氏に、海外事業の心構えと市場調査の要点を解説していただきました。アジア進出で事業拡大を狙う経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。
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アジア進出は中小企業にとっても業績アップのチャンス
日本からアジアへの輸出といえば、世界的な人気と知名度を持つ企業(メーカー)の自動車や電化製品が長く好調でした。それらのブランド力は今なお健在ですが、経済成長に伴い中間層や富裕層が増えている近年では、教育や娯楽、医療サービス、その他高付加価値な消費財の需要も高まりを見せています。
また、農業・食品分野のアジア輸出もここ数年、盛んになっています。国内での食市場は、人口減少により横ばいまたは縮小傾向にありますが、中国・インドを含むアジア諸国の食の市場規模やASEAN諸国の冷凍冷蔵食品市場は、ここ10年で約3倍に拡大しています。
そんな
例)
アジアの富裕層の間で日本の野菜・果物の人気が高まっていることを知り、自身が経営する農園の作物を輸出したいと考えました。まずは輸出する国を決めたいのですが、市場のニーズを調べる方法がわかりません。現地の企業とタッグを組んで継続的に事業を展開したいと考えていますが、海外事業のノウハウがなく、税制や文化の違いをうまく乗り越えられるか不安があります。
海外展開を成功させるにはどんな準備が必要?
今回は、
顧問
米山顧問
経歴
総合商社に32年間勤務し、国内外の航空防衛宇宙分野の企業と様々な取引を行うとともに、最後の5年間は米国ワシントンDCで世界の政治・経済・安全保障・技術動向の調査・研究に携わる。海外から日本をよく観察した結果、日本が次の経済成長を果たすには中小企業の海外展開が必須であるとの結論に至り、中小企業診断士の資格を取得。
2013年には中小企業に対して外国人材の紹介や海外進出の支援を行うコンサルティング会社を創業。貿易に対する豊富な知識と、アメリカでの駐在で培った英語力を武器に、日本企業のウェブサイトのグローバル化支援、外国人材の正社員としての紹介と入社後の戦力化研修、海外での営業戦略支援、海外の代理店やパートナーの調査と交渉、契約化支援、貿易実務支援などを手掛ける。
商品を海外で売るには2つの手段がある
米山顧問
日本の企業が海外で初めてモノを売るときには、まず海外の最終需要家を知る企業やバイヤーに商品を卸すことになります。インターネットを介して海外の消費者に直接モノを売る「越境EC」という方法もありますが、今回は現地の業者とタッグを組む場合に絞って話を進めます。
手段1:商社や貿易会社を介して輸出する
米山
商社や貿易会社を介して輸出するメリットは、ターゲット市場や顧客を知る彼らに海外取引に伴うリスクや面倒な手続きを任せ、日本語ベースの国内取引にできる点です。一定以上の数量での取引が条件となり、中間マージンを考慮した採算を考える必要がありますが、商品の安定供給に集中したい場合はこの方法が最もスムーズでしょう。
商社や貿易会社は、基本的に彼らの固定費を超える収益が見込める規模の案件でないと興味を示してくれません。したがって、商品を売り込む前にどのくらいの販売規模となりえるか、その根拠をわかりやすくまとめた説明資料の準備が必要です。資料の中では日本国内での販売実績と、将来反応が良い場合にどこまで増産できるかといった可能性についても触れておく必要があると思います。
手段2:バイヤーや企業と直接契約する
米山
海外のバイヤーや地元企業と直接契約するメリットは、中間マージンがなくなることとともに、ユーザーの声を身近に聴いて素早く対応するといったマーケットアクセスが良くなることにあります。
直接契約の場合は取引相手の掲げるビジョンや信用、実績、組織体制等とともに、当該国での輸入販売の資格の有無や在庫を抱えられるか、クレーム対応力があるかなど調べたうえで、どういった関係を模索するかを決め、それに基づき契約書を準備します。契約の選択肢としては販売店契約、代理店契約、売買(基本)契約、包括的提携契約などが考えられます。現地で商標登録などをする場合には相応の知的財産権に関する知識を持ったパートナーも必要となります。
輸出する国や地域の選定基準
米山
輸出する国や地域を選ぶ際は、ターゲット顧客層(消費者なら年齢、性別、収入、家族構成等)をある程度設定したうえで、その層が豊富なエリアの市場規模、成長性、規制、リスクなどを調べていきましょう。
例えば一口にアジアと言っても、国が違えば文化や慣習、経済力が異なりますので国ごとの傾向などについてはジェトロが毎年準備する詳細な統計などを参考に目星をつけることが一考です。 国を特定したうえで、市場へのアクセスを設けるには様々な要素を検討する必要があるので、対象国やエリアに関する幅広い知識と経験を持つコンサルタントや専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。

米山顧問のひとこと
米山
私が
海外進出前に整えるべき準備
米山
対アジアの
準備1:海外ビジネス特有のリスク
米山
国をまたぐ取引で気を付けたいものには、マーケットリスク(市況)、異文化リスク(日本の消費者の感性と異なる感性、反応等)、インフレリスク(特に人件費や倉庫、流通)、為替リスク、パートナーの信用リスク、カントリーリスク(地政学、政治、コンプライアンス等)、そして自然災害リスクなどがあります。ブランドや特許技術などの知的財産権が含まれる場合にはそれらの毀損リスクもあります。
準備2:言語の違いによるコミュニケーションロス
米山
ASEAN地域の国々はホワイトカラーのビジネス層がある程度の英語力を有しているため、英語での意思疎通が可能である場合がほとんどです。中長期的に、言語の違いはもとより異文化に根差してビジネスを発展させようと考える場合には、日本語の上手な外国人材を採用したり、自社の若手をインターンシップなどで海外に出すなどして陣容を整えることも大切な経営判断だと思います。
相手国が日本に技能実習生を派遣している国であれば、日本で技能実習生を採用し3年ないし5年の実習を終えて母国に戻った後、現地(現地法人、支店、駐在員事務所など)のスタッフとして継続採用することも考えられると思います。
結論:市場調査、文化の理解、言語力どれが欠けても海外事業は成功しない
いくらアジアの消費市場が急成長しているとはいえ、丁寧なマーケティング戦略と事業計画なしに海外事業は成功しません。まずは、これまでの企業活動をじっくり振り返り、自社・商品の強みや他商品との比較におけるポジショニングなどを可視化することから始めましょう。
商品の客観的な分析は社内で完結させることもできますが、海外市場の環境分析についてはそれぞれの国の文化や商慣習に詳しい専門家にサポートを依頼することも効果的です。環境分析では、前述のとおり日本貿易振興機構(ジェトロ)の統計・市場調査や農林水産省などの公的機関や商工会議所などの助言や支援を活用することになります。
これらの分析を踏まえて、「誰に(ターゲット顧客層)、何を(特定の農産物やその加工品+サービス)、どのように(差別化)販売することでいかなる価値に貢献する(社会貢献価値)事業か」を企業自身が定義できれば、それが海外事業展開のひとつのシナリオとなります。そのあとは俗にいう4Pと3Cの切り口等で具体的な市場アクセスのチャネルづくりや値決め、販促(プロモーション)などの戦略を考えていきましょう。
半年で

海外事業に詳しいプロフェッショナルが周囲にいない場合は?
中小企業の
グローバルな経済動向に明るく、企業経営についても相談できる人材を顧問として迎え入れれば、それぞれの不安要素に対して確かな根拠のある解決策を導き出すことができます。社外の人材との協力で海外事業を成功させ、20年、30年後も成長を続けられる企業基盤を作りましょう。
米山
日本企業はこれまで「人材や技術の囲い込み」「内製化」「起業機密化」という方向で競争力の増強や差別化を図ってきましたが、今はビッグデータ、オープンリソース、アウトソーシングといった開放系の動きが盛んな時代です。顧問や外部専門家もアウトソースのひとつとして積極的に活用すべきだと思います。
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顧問バンクは、
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米山
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顧問バンクを使いこなすポイントは、顧問に対して遠慮しないことだと思います。特定のタスクを任せて距離を置くのではなく、自分の会社が客観的にどう見えるか、どこに違和感を持つか、どこに改善点が潜むかなど、顧問の知見やこれまでの経験に基づき自社の良き鏡となってもらいましょう。
私の場合は、相手先のニーズをしっかりと聴きだすヒアリングを重視し、対話の内容はその都度記録・共有して、常に同じ現状認識と同じ「ゴール」を目指していることを確認するようにしています。ぜひ顧問を使い倒してください。
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対応実績についてひとこと
これまで支援を行った企業は、油圧特殊マテハン機材メーカー、日本語学校、印刷会社、印鑑販売会社、油圧マストメーカー、ステンレス板金会社、自動車アクセサリーメーカー等まで多岐にわたります。対象国は米国、英国、シンガポール、ベトナム、インドネシアなどがあります。