新商品・新サービスの明暗を分ける、市場調査・マーケティングリサーチの方法や種類 | 顧問バンク

コラム

新商品・新サービスの明暗を分ける、市場調査・マーケティングリサーチの方法や種類

経営者や役員の方であれば、市場調査やマーケティングリサーチについて基本的な知識をお持ちだと思います。しかし、時代の進化に合わせて開発された新たな手法をキャッチアップし続けるのは、専門部署の人間でなければなかなか難しいところ。そこで今回は、新規事業立ち上げにあたって必要な市場調査やマーケティングリサーチの考え方、主な手法などについて解説します。

また、後半では、企業に対して市場調査やマーケティングリサーチの専門家をご紹介する「顧問バンク」についても触れていきます。「この業務分野が手薄で困っている」「専門部署がなくどうすべきか悩んでいる」という方は、ぜひこちらも参考になさってください。

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市場調査やマーケティングリサーチとは?

混同されがちな二つの概念ですが、じつは大きな違いがあります。

市場調査は、「どうすればその製品やサービスが売れるのか」という戦略を立てるために、根拠となるデータを収集して市場を把握すること。例えば新たに自動車を開発する場合、国民1人あたりの保有台数がどの程度か、内訳がどのようになっているかなどを知る必要があります。また、メインカーはどんな車種で、セカンドカーはどんな車種でー―といった情報も重要。さらに、年齢・収入と購入される車種の相関関係を把握することも大切になってきます。「売れる車づくり」のためにこうした諸情報を収集し、定量的・定性的に解析していくのが市場調査と言えるでしょう。

これに対してマーケティングリサーチは、製品やサービスの開発というよりも、それを売るためのプロモーション計画に役立てられる手法です。同じく自動車を開発する場合を例に取れば、どうすればより多くのユーザーを獲得できるか、製品をより魅力的にアピールする広告宣伝手法にはどんなものがあるか、といったことがマーケティングリサーチから導き出されます。

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市場調査の種類と方法。それぞれのメリット・デメリット

一口に市場調査と言っても、目的別にさまざまな種類があります。たとえば、「ブランドイメージ調査」は消費者が自社商品と競合商品に抱いているイメージの違いを明らかにするもの。「商品開発調査」は、想定する顧客層が既存の商品に対してどんな不満があるのか、改善の要望があるとすれば何かを聞くもので、文字通り商品開発に活用されるだけでなく、既存商品の改良にも役立てられます。この他にも、商品の価格を決めるための「価格調査」や商品のニーズや改善点を掘り起こすための「満足度調査」、広告宣伝やセールスプロモーションに役立てるための「販促調査」などがよく知られています。

次に、こうした市場調査で用いられる主要な調査方法を解説しましょう。これらは、「定量調査」と「定性調査」に大別されます。前者は文字通り、調査対象の数量や割合を明らかにする手法で、結果は数値やグラフ、表など客観的なデータで示されるので説得力がある、回答サンプルを多く集められるので誤差が生じにくいといった利点があります。一方、設問の仕方によって結果が変わってしまったり、質問したこと以外は答えてもらえなかったりといったデメリットも。解析には統計の知識が不可欠で、扱う側にリテラシーが求められる点も定量調査の難しいところと言えるでしょう。

これに対して後者の定性調査には、数字では表せない調査対象者の意見や行動などを情報として収集できるといったメリットがあります。たとえば、ある商品について、「どこが気に入っているか」「不満点はどこか」「なぜその商品を選ぶのか」といった、印象や理由を深堀りするのに適していると言えるでしょう。反面、定量調査に比べてサンプル数を多く取れないため、あくまでも「少数の参考意見」として考えなくてはならず、説得力にはやや欠けます。また、聞き手のコミュニケーション能力に解答が左右される点も要注意。簡単なアンケート調査とは異なり、会場手配や取材対象の選定において手間やコストがかさむこともデメリットと言えるでしょう。

代表的な定量調査・定性調査の手法



調
アンケート調査訪問調査調査員が各家庭や企業を回り実施
街頭調査駅や商店街などで不特定多数の対象者に実施
電話調査選定した調査対象者に対し実施
FAX調査質問に対する回答をFAXで回収
インターネット調査ネット上の専用フォームを利用して実施
郵送調査質問状を調査対象に郵送して実施
会場調査まとまった数の対象者を会場に集めアンケートを実施
ホームユーステスト対象者に商品を家庭などで実際に使ってもらい、その印象や感想を調査


調
インタビュー調査グループインタビュー複数の調査対象者にインタビューを実施
インデプスインタビュー質問者が1人の調査対象者により突っ込んだインタビューを実施
ショップアロング調査調査対象の買い物を観察し、その後にインタビューすることで購買行動や心理を明らかにする
行動観察調査インタビューなどは行わず、ただ調査対象者の行動を細かく観察し、購買行動や心理を調査する手法
ステリーショッパー(覆面調査)店側に気づかれないように注意しながらサービスや接客態度、店の様子などについて調査する手法

市場調査を行う際に気をつけるべきポイント

市場調査が新しい商品やサービスの企画開発、改善などに役立つことはすでにお伝えしました。ただし、その実施に際しては下記のようにいくつか注意すべき点があります。手法や手間のかけ方を間違えるとコストがかさむだけでなく、調査結果の信頼性を損ねる恐れがあるので気を付けたいところです。

Point1 調査目的は絞る

調査から「何を明らかにしたいか」をはっきりとさせること。そこが曖昧だと、回答そのものが意味のないものになりかねません。

Point2 定量調査と定性調査は併用する

どちらも明らかにできる内容、質が異なります。調査の精度を上げるなら「必ず両者を併用すること」、そして併用する場合は「実施時期に適度な間を置くこと」が大切です。手順としてはまず定量調査で大枠をつかみ、定性調査で深堀りをするのが良いでしょう。

Point3 「サンプルが多ければ良い」というわけではない

どんな統計でもそうですが、何千、何万というサンプル数があるからといって、調査結果の質が飛躍的に向上するわけではありません。内容にもよりますが、市場調査では1,000件程度あれば十分信頼の置けるデータを抽出できます。それ以上のサンプル数取得はかえってコストがかさむので無駄です。

Point4 質問内容が回答の質を左右する

相手が何をどう答えてよいか判然としないような質問は問題外ですが、調査対象の回答を恣意的に誘導するような質問は絶対に避けましょう。「質問=調査票の文言作成」は、中立的かつ誤解を生まない表現にしないといけません。

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市場調査そのものは決して新しい概念ではありません。しかし、その手法は時代とともにつねに刷新されてきています。その意味では、一朝一夕になんとかなるというものでもありません。「社内に専門の部署がないから」と、急ごしらえで人材をかき集めてチームをつくったところで、それだけでは満足のいく調査結果は得られないでしょう。

今後のことを考えればチーム編成そのものは非常に重要で、その組織をうまく指導し、牽引してくれる専門化の存在が不可欠です。しかし、専属の顧問と契約するのはコスト負担が大きくなり、多くの費用を掛けられない中小企業やベンチャー企業にとって現実的とは言えません。「企業が外部顧問を迎えるというのはハードルが高い」と心配される経営者の方も多いことでしょう。

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顧問の人脈を生かせれば、各種調査やデータ分析の専門家、グループインタビューのファシリテーターの手配もきわめてスムーズ。ただでさえ余裕のない自社の人的リソースを、不慣れな仕事で浪費させることもありません。

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